【頭痛・疲労回復・下痢】漢方薬の選び方:漢方薬を症状に合わせて効果的に使う その②

漢方薬の選び方

頭痛にはガマンできないほど激しい痛みが急に襲ってくる急性頭痛、 数日から数週間かけてジワジワと痛みがひどくなっていく亜急性頭痛、 そして慢性的や繰り返し痛みが起こる慢性頭痛があります。

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急性頭痛や亜急性頭痛の場合、 くも膜下出血や脳腫瘍など重大な病気で起こっていることが多いので、 早急に病院で診てもらう必要があります。

一方、慢性頭痛は日本人の3人に1人が持っているといわれるほどポピュラーなもので、 「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」の3つに分類されています。治療法も若干、異なります。

緊張型頭痛

頭全体や後頭部がバンドでしめつけられるように持続的に痛むのが特徴です。 ズキンズキンと拍動するように痛むこともありますし、刺すように痛むこともあります。 その一方で、何事かに熱中しているときは痛みを忘れられるようです。 原因はストレスや長時間のデスクワークなどによる首や肩の筋肉の緊張です。 作業する机の高さが合わない、眼精疲労、義歯(入れ歯)が合わない、 歯を食いしばるクセなどが原因になることもあります。肩こりや首のこりなどを伴うことも少なくありません。

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この種の頭痛は背景にある原因を取り除くことが、症状改善の第一歩になります。
まずは作業環境を整えたり、合わない眼鏡や義歯を変えたり、 ストレス解消法を見つけたりしていきましょう。 適度のアルコールや入浴、マッサージ、運動なども緊張を解きほぐすのに効果的です。 こうしたことを実践しても痛みが続く場合、治療を行います。 筋肉の緊張を解きほぐす「筋弛緩薬」を用いるのが一般的です。

片頭痛

こめかみの片側、あるいは両側に鈍痛を感じ、やがて痛みはズキンズキンと脈打つようになり、頭全体に広がっていきます。頭痛が起こる前兆として、目の前に閃光(せんこう)やジグザグに走る光が見えることがあります。頭痛のほかに吐き気やおう吐を伴うこともあります。
こうした片頭痛の症状は脳の血管が拡張することで起こるとされていますが、原因は不明。ただ、若い女性に多いことは分かっています。

治療は頭の血管を収縮させるはたらきがある薬を用います。前述した前兆があった時点で飲むと効果的です。痛みが始まってしまったら、鎮痛薬を使います。 片頭痛は多忙な平日より、ゆっくりと過ごせる休日に引き起こされやすいことが分かっています。ですので、休みの日も規則正しい生活を送ることが大切です。

群発頭痛

群発頭痛は男性によく見られる頭痛です。目の奥やその周辺を中心に始まり、額、こめかみ、あごなどに痛みが広がります。たいてい同じパターンで痛みが現れます。痛みは強烈で、「目の奥をえぐられる」と言う人もいるほどです。充血や鼻水、発汗などを伴うこともあるようです。
原因は分かっていませんが、深夜、明け方など決まった時間帯に起こるのが特徴です。

群発頭痛の治療は難しく、一度、痛みが起こってしまうと、鎮痛薬があまり効きません。ですので、事前に予防効果が期待できる薬(血管を拡張する薬、ステロイド薬など)を飲むことになります。

疲労回復 漢方

疲労回復に効果のある漢方薬と処方箋

実はこうした症状は脳が発するSOS信号であることが分かってきています。疲労を感じる部分は体の部分、いわゆる筋肉や骨、内臓ではなく脳で、疲れが出てくると、脳は自らの活動水準を下げて、眠気やだるさ、集中力の低下、身体各部の違和感(頭痛や肩こりなど)といった、いわゆる「疲労感」を演出することにより、休息を督促し、体を守っているというのが最近の考え方です。

  • からだの症状
    足やからだ全体がだるい、重い、頭が痛い、ぼんやりする、目が疲れてショボショボする、動作が遅くなる、あくびが頻繁に出る、眠い、腰が痛い、肩がこる、めまいがするなど
  • 精神的な症状
    集中力がなくなる、考えがまとまらない、イライラする、根気がなくなる、ミスが多くなるなど

ただしこうした疲労対策を行っていても、疲労が回復できない場合は、がんや甲状腺、肝臓、心臓などの病気の症状として現れている可能性もありますので、必要に応じて検査を受けることをおすすめします。

疲労を改善する目的の漢方薬として代表的なものは、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)で、だるい、気力が出ない、食欲がないといった状態に、とてもよく効きます。気力ばかりでなく、体力も回復させてくれる処方です。

年齢的な衰え、夏ばてや病後の回復期にもよく用いられる方剤です。また、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)もよく使われます。これは脳のストレスをとるものです。

気虚に加えて、皮膚がかさついたり体重が減少したりという血虚の症状も伴うときは、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)が効果を発揮します。

人参養栄湯(にんじんようえいとう)を使うこともあります。

胃下垂に伴って疲労感、冷え、無気力が現れているときは、四君子湯(しくんしとう)や六君子湯(りっくんしとう)などの胃腸症状に効く漢方薬が使われます。

下痢に効果のある漢方薬

下痢とはさまざまな原因によって、「腸管に水分が十分に吸収されないために、軟らかい便が頻繁に排出される状態のこと」を言います。

一次的に起こる原因としては、食べすぎや飲みすぎ、消化不良、食あたり、精神的な緊張などが挙げられますが、体質的なものが影響を及ぼしていることも少なくありません。ただ、ある時期から下痢が続いたり、吐き気や腹痛、発熱などほかの症状を伴ったりしたときは、何らかの病気が原因で起こっている可能性があります。

下痢 漢方

急性の下痢の原因と対策

  • 感染性の下痢 水分やミネラルの補給。
  • 下痢を止めるような薬は使用してはならない。
  • 中毒性の下痢 原因薬物などの摂取をやめる。
  • 食品アレルギー 原因の食物の摂取をやめる

一方、慢性の下痢は大腸や小腸の器質的疾患(がんやポリープ、クローン病など)、糖尿病、甲状腺機能亢進症などによって起こる場合がありますが、検査を行っても原因が見つからないことも少なくありません。

こうした症状、つまりはっきりした原因がないのに、下痢が続いたり、あるいは便秘と下痢を繰り返したりする場合で、ストレスが関与していると思われるときは、「過敏性腸症候群(IBS)」と診断されることも少なくありません。

漢方では、体力がなく、胃腸が弱い「虚証タイプ」に下痢が起きやすいことから、薬用人参という生薬が含まれる漢方薬のグループ「人参湯類」を用いて、下痢の改善を測っていきます。

その際、食欲不振や胃もたれがある人は六君子湯(りっくんしとう)、疲れや冷えがひどい人は四君子湯(しくんしとう)や人参湯(にんじんとう)、食が細く、ちょっと食べただけですぐにおなかにきてしまう人、極端に寒がりな人は真武湯(しんぶとう)というように、ほかの症状も考慮します。