【むくみ・冷え性・低血圧・貧血・自立神経失調症】漢方薬の選び方:漢方薬を症状に合わせて効果的に使う その①

漢方薬 症状

漢方の場合、独自の考え方からむくみの原因を探り、必要なら治療を行っていきます。

漢方の概念には、「気・血・水(き・けつ・すい)」というものがあります。

「気」は生命エネルギー、「血」は血液とそのはたらき、「水」は血液以外の水分と考えられています。

むくみに効果のある漢方薬

この「水」に異常をきたす「水毒・水滞」になるとむくみが出るというのが漢方の考え方です。

「水」に異常をきたす原因の一つが、「腎(じん)」の機能低下です。「腎」とは五臓六腑のひとつで、西洋医学のように腎臓というひとつの臓器だけを指すのではなく、水分代謝、ホルモンバランス、成長、記憶力などを受け持つところです。

たとえば腎の代表的な働きとして、食べものの吸収や代謝、排出があります。

腎は食事で摂った食べものや飲みものを「気・血・水」に変えて、全身に運ぶはたらき(専門用語では「気化作用」と言います)があります。

その一方で、「気・血・水」にならなかった成分や、必要の無くなった成分を、汗や尿などの「水」として排泄させるはたらきもしています。

このように、腎がうまく機能していれば、「気・血・水」は正常に保たれるので、私たちは健康で元気でいられますし、機能しなくなれば「気・血・水」に異常をきたし、乾燥やむくみが出る、成長や発育がとまる、精気が失われる、記憶力が低下するといったさまざまな症状が出てきます。

とくに排泄がうまく行われないと、水が滞る「水毒・水滞」の症状が強く表れます。

漢方でむくみを改善させる場合、この「腎」によって「水」が滞るという状態を重視して、「利水剤」と呼ばれる漢方薬を処方していきます。

漢方の利水剤は、体がどんな状況でも尿を出させてしまう西洋薬の「利尿薬」とは大きく異なり、「よぶんな水分だけを出して、いい水分バランスに調整する」というはたらきをします。

むくみに効果のある漢方薬

冷え性に漢方

冷え症は女性に多い悩みのひとつ。

成人女性の半数以上は冷え症で悩んでいるとも言われています。とくに手足の先など体の中心から離れた部分(末梢)や、腰が冷えると訴える場合が多いようです。

女性の場合は、食生活や生理の影響で貧血気味の人が多いことと、女性ホルモンの乱れから自律神経がバランスを崩しやすいことから、冷えが起きやすいと考えられていますが、最近では男性の冷え症も増えているようです。

手足が冷たい・冷房にあたると具合が悪くなる・秋口から春の終わりまでカイロや電気毛布がかかせない・寝るときは夏でも靴下をはく・すぐにおなかが痛くなる・下痢になる

冷え性 漢方

冷えに関係する病気・症状

月経不順、無月経、月経困難症、月経前症候群(PMS)、不妊症、更年期障害、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、関節リウマチ、腰痛、肩こり、頻尿、膀胱炎、過敏性腸症候群(IBS)、下痢、慢性疲労、不眠など

このようにさまざまな病気の「引き金」になりかねない冷えですが、基本的に西洋医学では、「冷え」という概念は存在しません。

したがって、「冷え症」と診断されることもありません。

ただ、症状の内容や強さ、血液検査などの結果から、自律神経失調症、低血圧、貧血が考えられるときは、その治療を行っていくことがあります。

気虚 真武湯(しんぶとう)・人参湯(にんじんとう)・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)・人参養栄湯(にんじんようえいとう)・八味地黄丸(はちみじおうがん)・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)など

お血 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・温経湯(うんけいとう)・加味逍遙散(かみしょうようさん)・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)など

水毒 苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・真武湯(しんぶとう)など

低血圧、自立神経失調症に効果のある漢方薬

    自律神経失調症

  • その名の通り、交感神経と副交感神経の調整が乱れている病気。血管の拡張や収縮がうまくできなくなり、血液循環が悪くなるため、冷えのような症状が起こってきます。
  • 低血圧

  • 血圧が低い状態。(起立性低血圧では、立ちくらみやめまいがみられます。)
  • 貧血

  • 体の細胞は血液中の栄養素や酸素を利用して熱エネルギーを産生します。ところが、血液中の赤血球の濃度が低下する貧血になると、酸素や栄養素を運ぶはたらき に支障が出るため、細胞のエネルギーの産生にも影響を及ぼしてしまいます。

冷え症を解決するためには、自律神経を乱すような生活を改善し、その上で体を冷やさないように工夫すること、エネルギーの産生につながるようにバランスの取れた食事をとることが大切になります。

このほか、ストレスをためず、休日はゆっくり過ごし、リラックスすることも冷え解消に役立ちます。

低血圧 漢方薬

貧血に効果のある漢方薬

漢方には「気・血・水(き・けつ・すい)」という概念があり、貧血はこの「血」が不足している状態・「血」の栄養不足だと考えています(ちなみにこの血(けつ)というのは、単に血液と言う意味だけではなく、血液がもたらすはたらきも含まれています)。

これを漢方では「血虚(けっきょ)」という状態ととらえ、漢方薬で血を補うことで血虚を改善し、症状を改善していきます。

場合によっては血だけでなく、気が不足している状態「気虚(ききょ)」を伴っていることもあるので、気を補う治療が必要なこともあります。

このほか別の原因によって貧血が起こる場合は、そちらの原因をとっていくことで貧血症状を改善させることもあります。

貧血 漢方薬

例えば、月経によって症状が現れる人は血が滞っている「お血」の状態ととらえて、お血を改善する漢方薬が処方されることもあります。

また食べるとすぐにお腹を壊してしまう人、食欲がなくて食べられない人、たくさん食べていても貧血がある人などは、胃腸の消化吸収機能が弱くなって、食べた栄養が体に届いていない場合も考えられます。

そこで、漢方薬で胃腸のはたらきを強くして、消化を高める処方をする場合もあります。

漢方の診察では、独自の「四診」と呼ばれる方法がとられます。

一見、貧血とはあまり関係ないように思われることを問診で尋ねたり、お腹や舌、脈を診たりすることがありますが、これも貧血の根本的な原因を探るために必要な診察です。

また、貧血になりにくい体質への改善を目的にする場合は長期にわたる服用が必要となりますので、忘れずに根気よく飲み続けることが、最大の鍵となります。

同時に食生活にも配慮して、貧血になりにくい生活を送ることも大切です。